鳥旅 第12回 再びの硫黄島クルーズと三宅島の旅 2016


2026.05.21〜05.29



アカアシカツオドリ 



はじめに

2012年7月に硫黄島クルーズに参加し、この地域でしか見ることができない鳥を
感動しながら見ていたのですが、その時は海鳥を始めたばかりで右も左もわからない状態でした。

この度、おがさわら丸新造船就航に伴い、クルーズが5月に前倒しされることになり
7月とはまた違った鳥も見られるのではないかと、参加を決めました。

5月は子育てが始まるころで7月は雛が巣立ちをする時期だそうで、鳥の行動も違うのではないかとの事でした。

また、この機会に以前から是非行きたかった三宅島にも足を伸ばすことにしました。




5月21日  

航路図 2016.05.21  

10時に竹芝桟橋を離れ、小笠原に向かいますが今回は鳥見の人が
多く乗っているため、通常とは違い三宅島や八丈島近くを通るルートで
海鳥の観察機会が多い、島嶼よりを通るとのことでうれしい配慮がされています。

これは鳥見の人以上に島好きの人が喜ばれたかもしれません。




ライトブイにとまるアジサシ


のんびり湾岸の建物などを眺めながら寛いでいると、ちらちらとアジサシ類が飛んでいて
よく見ると、これが私にはなじみが薄いアジサシで、もうここでスイッチが入ってしまいました。

ほかにコアジサシやウミネコ、カワウなどもいて湾内でも飽きることがありません。

おまけに羽田空港に着陸する航空機も身近に眺められますので、少し忙しいほどです。



オオミズナギドリ


クロアシアホウドリ 大島沖

人気者のアホウドリ類の出現に、やっと海鳥の世界に入った
実感がわいてきます。

皆さんお待ちかねのアホウドリは残念ながら確認できず。



カツオドリ 御蔵島沖


ハシボソミズナギドリ  御蔵島、八丈島の中間点

ミズナギドリ類の北上期にあたるため多くのハシボソミズナギドリが見られ
この航海中、硫黄島近海でも確認できました。



5月22日  

航路図 2016.05.22  

観察時間鳥島のはるか南で日の出を迎え、5時30分頃より撮影を開始しますが
心が躍る海域です。

聟島を見ながら小笠原列島父島へ

もう少し、この時間が長かったらと思いますが、11:30に父島に到着


日の出


トビイカ

船に驚いて、トビウオならぬトビイカが一斉に飛び出しますが
思った以上に、かなり長い滞空時間です。

イカの種類は何でしょうか?


シロハラミズナギドリ

いよいよ南の海鳥が現れ、期待がさらに高まってきます。

シロハラミズナギドリも通常の海鳥観察では見ることができない鳥で
これが出れば、嬉しくなってきます。

裏側の黒の斑紋が独特ですね。

いつかはこれ以外のシロハラミズナギドリの仲間も見てみたいのですが
なかなかチャンスがありません。


オナガミズナギドリ

よく一夜明ければオオナギからオナガに変わっていると言われるほど
オオナギは見られなくなり、この鳥になってきます。


アカオネッタイチョウ 出現

まさかこの海域で見ることができると思っていなかったアカオネッタイチョウが
船のすぐ横を通過し、一気に盛り上がります。

名前通りのいかにも、熱帯にいるような姿と色をしていますね。


アカオネッタイチョウ


オーストンウミツバメ




オーストンウミツバメの群れ

数えたところ11羽の群れで、期待していた伊豆諸島付近では
私は確認できませんでした。


アカアシカツオドリ 幼鳥

これも南の海鳥の代表であるアカアシカツオドリで
全体が暗褐色なので幼鳥です。

まるでおが丸が通るのを待っていたかのように現れ
マストに止まって、トビウオなどを捕っています。


カツオドリ

誰もが、この鳥が出現した時は必死にカメラを向けますが
そのうち、この鳥の存在に気づかないくらい無関心になります。

その落差が、とても面白く印象的です。

思いっきり近づいてきて迫力ある飛翔を見せてくれます。


アカアシカツオドリ 亜成鳥


父島 二見港全景

11:30に父島に到着してから硫黄島クルーズまで6:30ほど
時間があったので、前回も来たビジターセンターに寄り
南硫黄島の調査記録映像などを見て、港の奥にある三日月山を
歩いてみたが、思っていた以上にハシナガウグイスが多く
いたるところで囀りを聞くことができたが、目立つところには
全く出てこないため、姿を一瞬見たにすぎなかった。

母島もハシナガウグイスとの事だったがここでも見ることができなかったので
かなり難度の高い鳥のようです。



5月23日  

航路図 2016.05.23  

南硫黄島より硫黄島、北硫黄島を通り父島へ

いよいよ、このツアー最高の皆さんが最も期待しているコースです

後で聞くと、このコースの参加人員は178名だったらしく鳥好き、島好きの方がほとんど

予報は良くなかったのですが、陽射しもあり、南硫黄島も
日頃は、ほとんど山頂が見えないそうですが、今日は薄い雲はあるものの
すっきり晴れ渡り火山島独特の迫力ある山容を見せています。

最高地点は916mもあり山頂付近ではクロウミツバメの繁殖も確認されているそうです。



南硫黄島 遠望

日の出前に硫黄島を通過し、明るくなるにつれて南硫黄島の
特徴ある姿が現れ、その姿が大きくなるにつれ、迫力を増します。

普段はコンテナがあって入ることができない前方甲板も
島の周遊時には解放されますので、好きな位置から海鳥や景色を
楽しむことができます。


アカアシカツオドリ

硫黄島クルーズでは定番のアカアシカツオドリですが
やはり幼鳥より成鳥の方が美しいので見栄えがします。

体も白色ではなく、黄色みを帯びていて、さらに美しさを増しています。


アカアシカツオドリ


アナドリ

繁殖地に近いせいか、アナドリも数多く現れますが
背中の逆ハの字の斑紋が鮮明に現れています。


クロアジサシ

こちらも南国特有の海鳥で、あまり船などを警戒しないようで
平気で近寄ってきますので、有難い鳥ですね。

同じ種類でヒメクロアジサシというのを探しますが、なかなか見つかりません。


オナガミズナギドリの群れ

波が穏やかなせいか、のんびりと休んでいるようで
船が近づくと、一斉に飛び立ちます。


オナガミズナギドリ





南硫黄島を背景にアカオネッタイチョウ

前に来たときは見ることは見られたものの、かなりと遠目で
特徴のある二本の尾羽までは見ることができませんでしたが
今回は運よく船にかなり接近してくれ、おまけに船についてくれましたので
その美しい姿を堪能することができました。

ただ、空抜けの場合は尾羽はきれいに見えるのですが
島や海をバックにしたときは赤い尾羽は見えづらくなります。


アカオネッタイチョウ


セグロミズナギドリ

日頃見る機会のないミズナギドリの仲間で
確実に見ることができるのは、このツアーくらいだと思いますが
出現は少なく、これも難度の高い鳥の一つです。

かなり小型で素早い羽ばたきが特徴です。




シロハラミズナギドリ

顔の周りがよく写っていて、特徴がわかりやすい画像です。
素早い鳥で、のんびりと撮影させてくれません。



アカアシミズナギドリ

今回、ただ一度きり見られた鳥で、これも北上途中なのでしょうか。



シラオネッタイチョウ  初見

はるか彼方であったが、見たかったシラオネッタイチョウを
見ることができたが、願わくばもう少し近かったら。

シラオネッタイチョウは白い尾羽が良く目立つので、わかりやすい。


セグロアジサシ


これも前回は遠目でかすかに見られた程度ですが
今回は船に近寄ってくれて、そのスマートな姿を心置きなく
見ることができました。

同じ仲間のマミジロアジサシも見られたそうです。


クロウミツバメ

この鳥は前回のツアーの画像を師匠に見てもらところ
クロウミツバメが写っていますと言われて、初めて気が付いたという
いわくつきのもので、はっきり見たという印象が
全くないものでした。


船にクロウミツバメがついてきてると言うので
早速、見に行ってみると数羽が右左に動きながら近寄っては
離れたりと敏捷に飛び回っている。

ウミツバメ類は今まで船の横に付いて、見え隠れしながら飛んでいるという
印象しかなかったので、これほど鮮明に近くで見る事がなかったので驚いた。

図鑑にも船の後ろにつくと書いてあったがスタッフに聞くと今ままでこんなことはなかったとの事で
やはり5月という時期が良かったのだろう。



クロウミツバメ



5月24日  

航路図 2016.05.24 母島往復

7:30に父島を出港し母島に9:40に到着
4時間ばかり母島を歩き、14:00に母島を出港

母島の手前は潮が早く、乗り越えるのが恐ろしいほどです。

当然、ここには鳥がたくさん集まっています。


アナドリ

独特のジグザグの飛び方で、船から離れていく個体ばかりなので
なかなか撮影は手ごわい。


オナガミズナギドリ

日頃はお目にかかれないミズナギドリだが
だんだん慣れてきて、あまり注目しなくなります。

下のオオナギとの違いが良く分かります。


オオミズナギドリ

まさかここでオオナギを見られるとは思わなかったので驚いた。
前回も含めて、この周辺で見られたのは、この時の一羽だけだった。


カツオドリ オス

あいかわらずカツオドリが多く、近くまでやって来るので
雌雄の違いが良く分かり、オスの青い顔が特徴的


メグロ

母島につくと早速、メグロを探しに島を歩くが、今回は季節が
早いため、パパイアの実が熟していないので少々難儀するが
それでも、なかには熟れ始めているパパイアがあり、それを目当てに
探せば、わりあいすんなり見つかります。



メグロ


メジロ

異常とも思えるほど、メジロが多くどこででも会うことができます。



トラツグミ

最初見つけたときには驚きましたが
あとで調べると、ちかごろ留鳥になったとか
離島では思わぬことが起こるものです。




5月25日  

航路図 2016.05.25 

14:00に竹芝を目指し出航



ビーチ

出航まで半日あるので同宿した島好きの学生さんが
レンタルバイクを借りて、島を走り回ったというので
炎天下、歩く気にもならずバイクを借りて島を走った。

夜明け道路というのが島の中央部を南北に貫いているので
そこを走ったが、高低差があり、カーブもきついので
なかなか、日頃乗ってないバイクでの運転は気を使った。



クロアシアホウドリ

今回のツアーではアホウドリ類はこのクロアシだけで
期待していたアホウドリは観察できなかった。 足環が確認できるが鳥島で付けられたものだろうか。


シロハラミズナギドリ

口の周りが白く、良く目立つ
背中のM字が、なかなか良い。


シロハラミズナギドリ

遠目でも下面の白は良く目立ち
他のミズナギドリとの比較がしやすい。


トビイカ

帰りにもトビイカを確認できたが
カツオドリの狩りがあれば、面白かったのだが。


ハシボソミズナギドリ

大体、どの海域でもこのハシボソミズナギドリを見ることができたが
北上のルート上にあるのだろうか。



5月26日  

航路図 2016.05.26  

青ヶ島近くから観察を開始 伊豆諸島沖を通過し竹芝へ



オオナギとボソ

並んで飛翔してくれたので大きさや、模様が良く分かるが
はばたきはボソの方がずいぶん早い。

この時点ではボソよりオオナギが多いが
季節が進めが逆転するかもしれない。



クロウミツバメ

航海中、よく姿を見せてくれたが
前回、ほとんど見られなかったのはなぜだろう。

やはり、季節が違っていたからだろうか。


オオミズナギドリの群れ

いつも見慣れたオオナギの群れ。



シロハラトウゾクカモメ

長い尾羽が良く目立ち、胸の黒い斑紋もないので
識別は易しい。


クロトウゾクカモメかな

尾羽の感じからクロトウゾクカモメに見えるがどうだろうか。

これを見ることが、今回のツアーの課題の一つではあったが。

何しろ遠目だったので、少し厳しい。


ハシボソミズナギドリ



5月27日  

アカコッコ 初見

22:30に竹芝桟橋を出て船室に入ったが 二等船室はおが丸ほど広くなく細かく分かれていて鬱陶しい感じはないが、寝床はマットレスもなく
床に直に寝るようになっていて、いままで利用した船で、こんな設備の悪い船はなかった。

毛布を100円で借りてなんとか就寝できた。

5:00に三宅島 錆が浜へ到着 民宿の方の出迎えを受け、宿へむかう。

この旅行中では本格的な雨となったが、少し小降りになった時を利用して
三宅高校の周りを歩いたが、鳥の密度は高く、ほどなくアカコッコを見る事ができたが
木から木へ飛び回り、じっくり見るまでには至らなかった。




イイジマムシクイ  初見

この鳥も密度が濃く、至る所にいるように感じたが
木の中を動き回り、なかなかじっとしてはくれない。

動かずにいると、ほんのそばまでやってきて、とても人懐っこい。


伊豆岬 灯台

昼から雨がやみ、曇の予報だったので村営バスに乗り
伊豆岬に行くことにしたが、乗るときに驚いたのが
料金は先払いとなっているのだが、均一料金なら問題はないが
区間によって運賃が変わるのに先払いとはおもしろい。

これも経費節減の一つなのだろう。


セッカ

灯台まで山の中の道を利用したが、ここもアカコッコ、イイジマムシクイを
たくさん見ることができた。

いよいよ海岸縁の草原に到着して、一生懸命ウチヤマセンニュウを探していて
止まっている鳥を見つけたが、よく見るとセッカだ。残念。

ウグイスも多いが、なかなか本命を見つけられない。


またしても止まっている鳥を見つけ、よく見るとこれが
カラスバトで、こんな草原にいるのは初めて見たが、戻る途中で電線に止まっている
個体も確認できた。

この岬めぐりが非常に楽しく予定していたバスを一便遅らせたが
これが大失敗で、次第に風雨が強くなり、近くの役場後の建物で
雨宿りする始末。

次のバスまでほぼ二時間もあったが、雨宿り中、近くの方が
コーヒーを持ってきてもらったのが、とても有難かった。




5月28日  

三宅島 御山

雨の心配がないのでまず近くの坪田林道を歩いてみましたが
アカコッコ、イイジマムシクイの囀りがすごく、タネコマドリ
モスケミソサザイも囀っていますが、残念ながら全く見ることはできません。

なかなか手ごわい鳥です。

次に本日の本命、大路池を歩きますが、パンフレットによると
ここは日本一のさえずりが聞ける場所だとか。

上空をアマツバメが飛んでいて、聞くところによると
ここで繁殖も行っているとの事でした。


アカコッコ館

おそらく三宅島に来られた方はほとんど利用されていると
思われるが、いろいろな情報を得ることができる。

それ以上に、水場が作られているので
いままで、ほとんど姿が見られなかった鳥たちが、ここでは
簡単に見られるので、大変ありがたがった。

ミニ探鳥会にも参加して、巣だったばかりのタネコマドリの雛を
見ることができました。


オーストンヤマガラ

これも見たかった鳥の一つでしたが
わりあい多く生息しているようで
あちこちで見かけることができました。

名前もいいですが色もいいですね。


アカコッコ

暗い森で、枝づたいに動き回っている鳥は見るのが難しいのですが
水場では今までのモヤモヤが一気に解消され
全身をくまなく見せてくれるのが、有難いところです。


アカコッコ


イイジマムシクイ

水飲み場に時おり姿を見せるので、その姿をじっくり見ることができますが
森の中では、なかなか目につかず探すのが容易ではありません。

ただ、囀りは大きく存在感は抜群です。

今回、録音機を持って行こうかずいぶん悩みましたが
コンデジで録画し、そのさえずりを持ち帰ることができました。

この方法は、これからも使えそうです。


イイジマムシクイ


オーストンヤマガラ  幼鳥

丁度、雛が巣立ちする時期だったのか、かわいいオーストンヤマガラの
巣立ち雛が水浴びしている。

成鳥と比べて茶色の部分が、ずいぶん淡い。


アオウミガメかな

伊豆岬から海鳥を探していると、所々に
なにか浮かび上がったり、潜ったりしている生物を
確認したので、あとで画像を確認してみたところ
ウミガメでした。何という種類なのでしょうか


ウチヤマセンニュウ 初見

再び、伊豆岬へ向かい、ウチヤマセンニュウを探したが
個体数が多いようで、比較的簡単に見つけることができた。

この個体は足環をつけている。


ウチヤマセンニュウ



5月29日  

航路図 2016.05.29 最終日

残すところ、この一日になってしまったが、幸い天気も安定していて
悔いのない日となりそうだ。

5時過ぎの、竹芝から到着した船に乗り御蔵島を経て八丈島へ

とんぼ返りで竹芝へ向かいます。

この航路もかなり期待していたのですが残念ながら不発でした。

この日の深夜に帰宅しましたが、疲れました。


オオミズナギドリの群れ

オオナギの大きな群れが、海上で休んでいて
船が近づくと一斉に飛び立ち、オオナギだらけのようななる。


オオミズナギドリとイルカ





御蔵島港

ほどなく御蔵島に到着したが、集落がなぜか、かなりの高台にあり
港とはだいぶ高低差があるようで、今までこのような島を見たことがなかったので
興味深かった。

北に面した港は風に弱いようで、西の風が吹いた時は接岸できなく
最大、7日間も欠航したことがあったとか。

集落は限定されていて、ほとんどが深い山に囲まれている。




オキゴンドウかな

この航海中、ときおり海生哺乳類の群れを見かけることがあり
がぜん元気になる。

御蔵島にはイルカウオッチングが盛んなとこらしく、周辺にはイルカが
多いようです。



おわりに

二度目の硫黄島三島クルーズであったが、お天気も良かったことから
ずいぶん実りのある旅となりました。

父島の民宿も快適で、おいしい魚料理を頂きました。

ただ、ひとつ心残りは、ほかの人も同じだと思うのですが
オガサワラヒメミズナギドリ(通称オガヒメ)を見ることができませんでしたが
これは、また次回の楽しみにとっておきましょう。


初めての三宅島でしたがバードアイランドと言われるだけあって
鳥の濃さは私の知っている範囲ではおそらくナンバーワンだと思います。

まるで渡りの最盛期の日本海の離島にきたような感じがしました。

最後に、ご一緒したタカの渡りのメンバーの方のおかげで旅がさらに有意義となりました。

ありあとうございました。


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