鳥旅 第14回 硫黄3島クルーズ  2017


2017 09.08〜09.13



北硫黄島をバックに飛ぶシラオネッタイチョウ



はじめに

今までに7月、5月とクルーズを経験してきましたが、この度9月に
クルーズを行うことになったため台風のリスクはあるものの
珍し系の海鳥の期待や新造船のおが丸にも乗船して見たかったため
行くことに決めました。

いつものメンバーに加え、師匠も行かれるとのことなので
ますます、面白い旅になりそうです。

それでも、いつ台風が発生するかと気をもむ日々でしたので
精神衛生的には良くありません。


三代目 おがさわら丸  

全景

おが丸の二代目はプロムナード・デッキが一つしかなく、最上階と
合わせて二段となっていましたが、新造船は三段あるので
状来よりは見やすくなりました。

総トン数   6,700トン →  11,035トン
全長     131m   →  150m
客室定員   768名   →  894名
航海速力   22.5ノット →  23.8ノット



二等和室

今までの大部屋ではなく、少人数ごとに分かれ
セパレーターがついていて、大きな荷物も収納できる。

二代目までは大部屋で足の踏み場に苦労するほどだったのが
大幅に改善された。

ただ、消灯が22時なので、それまでは寝るのに苦労します。


給湯器

今回は焼きそば、ラーメンなどでお世話になりました。


シャワールーム

清潔なシャワールームが各階にあり、シャンプーとボデーソープが
置かれているので、自前でタオルとボディータオルおよび髭剃りだけを持参すればよい

ただ、数が限られているので混雑時を避けなければなりません。


展望ラウンジ Haha-jima

このスペースがこの船で一番気に入った所で、二代目では自前のラーメンなどを食べる場所に
苦労しましたが76席もあるので安心です。

席にはコンセントも設置されているところもあるので、観察終了後の画像整理には最適です。
もちろん、軽食コーナーもオープンしています。


観察デッキ

屋根があり風も少ないところですが観察者が多く混雑するところです。

今回はデッキの開放が日の出前の30分前の4:30でしたが
3時過ぎから待機されている方も多い状況でした。

海鳥の観察はハードですね。


8デッキ

最上階で人が少なく見やすいところですが、屋根がないので
容赦のない日差しと風が大敵です。
避難具などがあるため視界が限定されるのもつらいところですが
南硫黄島、北硫黄島周回時には、ここの方がネッタイチョウや
シロアジサシが近くで見られる場合があるので、移動しても良いかもしれません。


船内設備の中で残念だったのは、
@ 現在地を示すモニターで、あまりにも大雑把すぎて
  正確な場所がわからない。
  せめて3段階くらいの表示にしてくれたら島影がどこの島かわかって面白いのだが。

A 店内売店のアイスクリームの種類が少なすぎて、毎回、アイス最中ばかりを食べていました。
  ハーゲンダッツは私には高級すぎます。(笑)

09月08日  

乗船風景

値段の高いクラスから乗船が開始されましたが、私は最終組。

それにしてもおもしろいのは若者と年配者がほとんどで
この旅の目的が海洋レジャーか鳥見かに分かれて、少数の島ファンが
乗船されているようです。


オオミズナギドリ

今回の旅では事前に4人の知人とご一緒しましたが
デッキでなんと、地元の野鳥の会4人と偶然会い
驚きました。近頃、海鳥に興味を持たれ、参加されたとの事で
なんだか、楽しい旅になりそうです。

出航し、東京湾を走っているときはウミネコくらいで一度アジサシが
出たくらいでしたが、湾を出るころからオオナギが増えてきましたが
今回の目標のハジロを何とか見つけたくて、探しましたがオオナギばかりで
ジエンド。



09月09日  

シロハラミズナギドリ

いよいよ本番の鳥見が始まり、長期予報では芳しくなかったのですが
見事な青空が広がり、小笠原近海のすばらしいブルーの色を見せ
海鳥もきれいな色を堪能できます。

このシロハラミズナギドリも、ほぼこの航路しか見ることができず
上面の逆M字の模様がきれいです。


シロハラミズナギドリ

シロハラ系も裏側の斑紋の違いが種を識別する重要なポイントの
一つとなります。


オナガミズナギドリ

小笠原航路で二日目になったらオオナギからオナガに
劇的に変わっているとよく言われます。

飛び方はオオナギと同じように見えます。


オナガミズナギドリ

下面の模様を覚えておきましょう


クビワオオシロハラミズナギドリ

いよいよ本命登場です。 9月に小笠原航路で鳥見と言えば、おそらくこの鳥が
見たい鳥の一位か二位に選ばれることでしょう。

私も念願がかないました。

背中の黒い部分が切れていて首輪になっています。

上記のシロハラと比較してみてください。




クビワオオシロハラミズナギドリ


セグロミズナギドリ?

小さめの、羽ばたきが早いミズナギドリが現れたが
画像をよく見てみると、目の上まで白い部分があって
オガサワラヒメミズナギドリではないかと思われたが
セグロミズナギドリということになりました。


セグロミズナギドリ?

師匠にも画像を送って確認して頂きましたが
”下尾筒側面の白い部分が背面から見えるので、セグロだと思うのですが・・・。
ネット上でオガヒメの画像を見てみると、
微妙な個体も見受けられますので、決め手にはならないようです。
オガヒメは、顔の白色部がはっきり白くなると思いますので、やはりセグロだと思います。”との事でしたが
諦めが悪い私は顔の部分を拡大して掲載しておきます。


セグロミズナギドリ?


カツオドリ

小笠原航路の定番であるカツオドリが登場

面白いのは出現した当初はほとんどの人が夢中で
撮影しているが、そのうち飽きてしまい
だれも見向きもしなくなる。

ただ、今回は鳥が極端に少なかったため
カツオドリのトビウオ狩りをのんびりと楽しむことができました。


アカアシカツオドリ


アカアシカツオドリ

その後、この航路のマスコット的なアカアシカツオドリが
現れ、飛び去ることもなく、こちらもトビウオ狩りで
楽しむことができました。


アカアシカツオドリ

下面から見ると赤い脚が良く見えます。


硫黄3島クルーズ 出発式

夕方から3島クルーズの出発式があり案内をしていただけるスタッフの
紹介があり、乗船してからは簡単な海鳥観察の楽しみ方の
講座が開かれて、いつもながら丁寧なアテンドに感謝です。



09月10日  

南硫黄島 遠望

南硫黄島の特異な島影が見え始め、群れ飛ぶカツオドリが
いい感じに飛んでいて、画になる風景です。

山頂は今回も雲に覆われていて、聞くところによると
はれることは事はほとんどないそうです。


シロアジサシ

島の周遊にはいるとすぐシロアジサシが4羽飛んでいるのが見え
幸先の良いスタートです。
この鳥も硫黄列島か東シナ海の一部でしか見ることができないようです。


シロアジサシ

今まで見た中では最も近くで見ることができました。




アカオネッタイチョウ

これも見たい鳥の三本の指に入る鳥ですが残念ながら
あまり近づいてはくれません。

赤い尾は見えずらいので、はっきり見えるシラオネッタイチョウとの
識別に役に立ちます。


アカオネッタイチョウ



アナドリ

クルーズ中、かなり頻繁に出現したので見る機会が
多く、堪能した鳥の最右翼でしょう。

翼上面の逆M字の淡褐色の模様が目立ちます。


アナドリ

下面は、ほぼ一面黒褐色です。


硫黄島

この硫黄島は、南、北とも違ってほぼ平坦な地形をしていて
摺鉢山が目立ちます。



ヒメクロアジサシ

学生さんのグループがヒメクロアジサシとクロアジサシの
群れを見つけてくれたので、やっと念願がかないヒメクロアジサシを見ることができました。
おそらく、この二種が同時に飛んでいないと識別は
できないだろうなと感じた次第です。


ヒメクロアジサシ

ヒメクロは明らかに黒く、やや小さく
黒いだけ、額の白色部がよく目立ちます。


コブハクジラ

クジラの群れを見つけ、名前をスタッフに聞き
コブハクジラと教えていただきました。

顔が確認できたので同定できたとの事です。


コブハクジラ


北硫黄島 遠望

南硫黄島と違い地形が複雑で、島を周回する時
現れる景色が変わります。

以前は人が住んでいたとの事でしたが島の暮らしは
大変だったことでしょう。


シラオネッタイチョウ

島の左斜面から飛んでくるシラオネッタイチョウを師匠が見つけ
かなりの時間、ゆっくりと飛んでくれたため、素晴らしい姿を堪能しました。

白い尾がくっきりと見えています。


アカアシカツオドリ 幼鳥




クロアジサシ

近いところをクロアジサシが飛んだが
こうしてみると、全体が黒褐色で額の部分の
白色が薄いのがなんとなくわかります。



09月11日  

母島へ

停泊中のおがさわら丸を見ながら母島へ向かいます。
船の全景を見る機会がなかったので、たっぷり見ることができましたが
きれいな船です。


アナドリ

母島までは2時間10分の航海で、ここでも海鳥を見るために目を凝らしますが
いつものアナドリ、カツオドリ、オナガミズナギドリくらい。


カツオドリ

ここでもカツオドリの漁が見られ、飛び込んで
飛び立つまでじっくりと観察できます。


オナガミズナギドリ




トウネン

渡りのシーズンだからかタカブシギ、チュウシャクシギ、キョウジョシギ
ムナグロを見ることができました。

タカブシギを海で見たのは初めての経験です。


アカガシラカラスバト

母島に上陸してから、皆さんそれぞれ三々五々鳥を求めて
歩き回るのですが、民家の近くの果樹園に大きな人だかりが
していて、何だろうとのぞいたらアカガシラカラスバトが
のんびり、採餌していて全く人を恐れているようには見えません。

天敵のノネコを捕獲したのでかなり増えているとか。



メジロ

パパイヤの実が熟れているところに頻繁にメジロが
食べに来るが、普段私たちが見ているメジロとは
雰囲気が少し違って見えます。

あとで資料を読んだところ、愛玩用に飼われていた
ものが逃げ出し、それが増加したとの事でした。


メグロ

小笠原への旅の目的の一つは、このメグロを見たいと
いう人も多いのですが、樹木の中に入っている個体は
なかなか、じっくりとは観察できません。

メジロ同様、熟れたパパイヤの樹を探すのが手っ取り早いと
思います。


オガサワラノスリ

普段見ているノスリと比べると翼下面の斑が目立たなく
白っぽく見えます。


桟橋アート

母島を離れるとき、おそらく環境省の職員の方が
ペットボトルの水でウミガメを描いてくれた。

上手です。きっと、だいぶ練習したのでしょう。


天の川

このクルーズの目的の一つが星空の撮影でしたが
雲も多かったので、宿の近くの海岸まで行って撮影した。

周辺の光が気になったが、何とか写っていた。

次に機会があったら、人家のない所でやってみたいが
空模様や月齢も関係してくるので、短期決戦ではなかなか難しい。



09月12日  

キョウジョシギ

いよいよ小笠原を離れる日で早朝、付近を散策していると
大神山公園の芝生に多くのキョウジョシギが採餌をしていて
ウオーキングの人が多いせいか、ほとんど警戒心がない。

今まで、これほど近く、見たことがなかったので幸運だった。


ムナグロ

キョウジョシギに交じって、数羽のムナグロも見受けられた。

こちらも、あまり警戒心がない。


マッコウクジラ

期待した海域だったが、鳥の姿はほとんどなく
聟島列島を見ながら、時間だけがすぎていく。

唯一、興味深かったのはマッコウクジラの群れで
フルークダウン(深く潜る前に尾ひれを持ち上げる)を
初めて見ることができました。


夕焼け

タイムアップで最後にオナガの群れを見て観察終了と
しましたが、日の入りがきれいで、多くの方が見とれていました。

日没後にすばらしい満天の星空が広がりましたが
これは大洋上は全く光害がなく、おがさわら丸も船上に
過度な照明がないので、天気と月の明るさがなければ
感動的な夜を過ごすことができます。

あまりに見える星が多すぎて、星座がわかりません。



09月13日  

オオミズナギドリ

いよいよこのクルーズの最後の日となって
有終の美を飾るため、気合いを入れますが
ひどい風と雨が降り始めたので、反対側に移ったため
ビッグなカワリシロハラミズナギドリを見損なってしまいました。

このように海鳥は一瞬が勝負という事が多く
珍し系は、この長い航海中、わずか二度しか現れませんでした。



終わりに

最も心配していた台風にも会わず、事前の天気予報が悪かったにもかかわらず
二度ほど短時間雨が降っただけで、素晴らしい晴天の中、海鳥の観察ができ
カワリシロハラは外したものの、クビワオオシロハラミズナギドリを見ることができたのは
大きな収穫でした。

しかしながら、海鳥の観察は本当に筋書きのないドラマそのものです。
それにしても9月はこんなにも鳥が少ないのでしょうか。


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