鳥旅 第15回 やっと来ましたトカラ列島 平島

鳥旅 第15回 やっと来ましたトカラ列島 平島


2018 04.23〜04.30



アカヒゲ オス  2018.04.25



はじめに

いつかはトカラ列島に行ってみたいとの願望があり、民宿をあたったところ
どこも満杯で今年、2月になんとか宿を抑えることができました。

未だ見ぬ憧れの鳥が多くどんな出会いがあるのかワクワク、ドキドキの旅の始まりです。

4月24日  曇のち小雨




フェリーとしま2

トカラ列島への唯一の交通手段であり珍しいことに十島村村営のフェリーで
月曜日と金曜日に鹿児島港を出港し次の日にトカラ列島の各島々をめぐって
奄美市が終着となります。

フェリーが到着する時は村の人、総出で着岸やタラップの準備を
行うのもほかのところでは見られない風景です。

この”としま”は三菱重工下関造船所で建造された新造船で
いつも通う風師山から少しづつできていく過程を見ていたので
思い入れのある船です。





平島

前日の23:00に鹿児島港を出た船は 口の島、中之島とまわって8:25に平島に到着しますが
字のように平ではなく、平家の平からとられた名前みたいです。

周囲-7.23km 面積-2.08平方キロ 人口は66人(2015.12.31現在)で
交通手段は船だけで、島には商店もないので住む苦労は大変だと思います。

島の周辺ではすごい数のオオミズナギドリが見られ。カツオドリの
姿もありました。


南の浜港(ハエノハマ)

港は入り江にもなってなく、外海に向かって張り出しているだけで、海底の状態から沖には防波堤も
造ることができなく、非常に厳しい環境にあり風波の状況により、もう一つの東の浜港とで共用しています。

いままで私が見た港のはほとんどが湾内か防波堤に周囲が囲まれていて、例外は三宅島や
御蔵島、八丈島くらいしか思い浮かびません。

なんでも波高が4m以上であれば欠航になると聞きました。



民宿 たいら荘

今回お世話になった民宿で廊下には所狭しと魚拓が張ってあり
ここは大物釣りのメッカであることもうなずけます。

釣りも天気が悪ければ船が出せませんので部屋にはマンガの本が
たっぷりあったのが印象的でした。

宿の方は感じが良く、鳥の情報も携帯に入れてくれ
ミヤマビタキが出たと聞き、駆けつけましたが見ること能わず。残念。



森の様子

見た感じではガジュマル、アコウが良く目立ちますが
今まで見たことがないくらいにリュウキュウカンザンチクが
密集して生育しており、中に踏み分けて入ったり、竹林の中を
見ることはとてもできません。




リュウキュウカンザンチク

生育が非常に旺盛で畑の中にも侵入してきて
放置すれば、すぐブッシュ状態となるようで
以前、鳥がいた場所も跡形がないくらいに竹に
覆われていて、人手が入っているところしか
草地は残されていません。




健康広場

一級の探鳥ポイントとの事でしたが今回はチュウサギ、ダイサギくらいで
鳥は少なかったのですが、手入れされた芝生が広がっていますので
きっと当たり年には良い場所なのでしょう。

ここにコホウアカがいたそうです。



平島小中学校 

グランドはきれいな芝生でよい感じですが
ここでは鳥を見ることはありませんでした。

ただ、授業がない時には何度か立ち寄って
見たいところです。


千年ガジュマル

周回道路の途中にあり ガジュマルの大木があり、林床にはクワズイモが生えていて
いかにも南国といった風情でそこかしこからアカヒゲの囀りが聞こえ
近くに小鳥が集まる樹木があることから、ここで椅子に座って
のんびりと過ごしていました。

また、道路にも小鳥が下りてきますので、面白いところです。


周回道路?

集落の中心から健康広場、千年ガジュマルを経て
コミュニティーセンターまでの周回道路で
舗装されていますが、今回はこの道の周辺で
見ることがほとんどでした。


診療所

前に広がる草地はチェックすべき大事なところのようですが
今では草に覆われ、一部が畑となっていますが
ここも鳥を見ることはありませんでした。

ただ、周辺の樹木や電線にコサメビタキがとまっていました。

ここにノゴマがいたそうです。


平島神社

診療所の向かいに赤い鳥居が目立つ神社があり
ここもポイントのようですが何も見ることがありませんでした。



4月25日  晴




アカハラ?

到着した日は昼過ぎから細かい雨が降ったためポイントをまわって
終了し、鳥見は本日からスタート。

毎日5:00に宿を出発しますがまだまだ暗いのですが、歩くにつれて少しづつ明るさが増してきて
5:15くらいに小鳥のさえずりが聞こえ始め5:45に日の出を迎えます。

8:00に朝食をお願いしているので、それまでのんびりと散策。

島で初めて見た鳥はチュウサギとアマサギでヒヨドリも非常に多い。

電線に止まっている鳥を撮ったがまだ暗く、逆光で識別が難しいが
アカハラのようです。


ササゴイ

ため池の中にササゴイがいました。

あまり見ることがないサギで
前に見たのはいつだったか思い出せません。


ヒメアマツバメ

ツバメの群れが飛んでいて、それに交じってアマツバメも確認でき
当初はハリオアマツバメと思っていたが画像を確認するとヒメアマツバメで
今までこの鳥は二度しかお目にかかったことがなかったので
乱舞を見ることができて良かった。

ベテランの方にハリオとの見分け方をたずねたら
胴体の太さで識別するとの事でした。


アカヒゲ

かなりの個体数がいるようで、あちこちから囀りが
聞こえてきますが、茂みから茂みへ移動するとき
目にする事をできても、とても撮影できるものではありません。

何時間も定点で見ていれば可能なのでしょうが
千年ガジュマルでは雄雌が定期的に現れることが多いので
ここで待つのが良いようです。

カワセミによく似た金属的な声を出して飛ぶのには
驚きました。


アカヒゲ


ギンムクドリ

運動公園横の電柱でギンムクドリを確認するが
この種類をはじめ多くの鳥が電柱や電線にとまっているので
まず、ここを最初に見ていきます。



ある日の昼食

8:00すぎに朝食をとり、しばらく休憩したのち
探鳥に出発しますが、ここは食堂もなく、ましてや
商店もないので昼食には宿に戻りますが、ほんの一部を除いて
探鳥地が宿から離れていませんので時間をロスすることも
なく、休憩を兼ねて昼食を楽しむことができます。



悪石島

遠く悪石島の姿を見ることができました。

行ってみたいところが多く、困ったものです。


ヤギ

アカヒゲを待っているとき、森の中がゴソゴソ
何だろうと思って構えていたら、驚いたことに
野生のヤギが数頭顔を出しました。

鳥を見ていたら、イタチやイノシシなどは
出会う機会が多いのですが逃げ出したのを
見ることはあっても、野生のヤギは初めてです。

島の人に聞いた話では、農作物が被害にあうので
困っているとか。



4月26日  晴




ルリビタキ

まだあたりが暗い中を歩いていると道端で
エサをつついている小鳥を見つけ、よく見てみると
ルリビタキです。

まさか、ここで出会えるとは思わなかったので驚きました。


コムクドリ

やっとコムクドリにお目にかかりましたが
これも数羽の群れで、先に見たギンムクドリ以外の
ムクドリの仲間はとうとう見ることができませんでした。


ズアカアオバト

森からこのズアカアオバトとカラスバトの鳴き声は
良く聞こえてきますが、カラスバトはチラッとしか
見ただけでしたが、ズアカアオバトは個体数が多いためか
頻繁に目にすることができました。


ツツドリ

トケン類が近くの竹に止まっていて、これほどに近さで
見たことがなかったので驚きました。

鳴かないトケン類は種がわかりませんが、師匠に聞くと
ツツドリで間違いないとの事でした。


ツツドリ




アカヒゲ


ビンズイ




キビタキ

いつもは樹林内で囀っていて、なかなか姿を
見せてくれないのですが、ここでは警戒心が薄いようで
じっくりと、その美しい姿をみることができました。

しかし、囀っている個体はいなかったようです。



4月27日  晴




星空

この旅で星空の撮影にも挑戦してみたかったので
日の出前に外に出て、満天の星空の元、標準レンズで撮影しましたが
満足のいくものはなく、次回はやはり広角27mmくらいで再挑戦したいと思います。

皆さんも離島など光害のない所に行かれた時は
星の撮影に挑戦されてみればいかがですか?


アカハラ

いつもは芝生の上で見ることが多かったので
開けた松の木で見たときは少し違和感がありました。


メジロ

普段目にしているメジロと違うようなので
亜種 リュウキュウメジロなのでしょうか。

とにかく、よく囀っています。


ムシクイ類



ムシクイ類



ムシクイ類



アカハラダカ

歩いているときはまず電線や電柱、それに樹木の先端を探しますが
そのとき、とまっている猛禽類が見えたので
確認するとアカハラダカ オスで、今までアカハラダカの止まりものは
見たことがなかったのでラッキーでした。

秋の渡りのルートは解明されているのですが、春はどんなルートで
大陸に渡っていくのでしょうか。



ツマベニチョウ

初めて屋久島でこの蝶に出会った時の事は
今でも鮮明に思い出します。

モンシロチョウと同じ仲間とは思えないくらい
存在感があり、美しい蝶ですね。

蝶だけを見る旅も面白いかもしれません。


オオルリ

オオルリは雌雄一羽ずつしか目にすることはできませんでした。
もう少しいてもよさそうですが。



4月28日




ノジコ

さりげなくノジコが電線に止まっていますが
できることなら草原の上で見たかったなあ。




サンコウチョウ

キビタキやオオルリ、ムシクイ類を待っているとき現れましたが
虫を捕るとき長い尾は、あまり邪魔にならないようです。


キビタキ



キビタキ

平島ではこのキビタキをよく見ましたし、あまり警戒しないので
至近距離から撮影することができました。

喉の部分がオレンジですのでリュウキュウキビタキではないようです。


アカヒゲ



アカヒゲ ポイント 千年ガジュマル

いたるところでアカヒゲの囀りは聞こえてきて
歩いているときもカワセミによく似た声を出し
藪から藪へ移っていきますが、チラッと姿が見える程度で
じっくり見るにはここしかないようです。

待っていれば雌雄がほぼ同時に現れます。


ホオジロ類

見た感じはカシラダカのようですが
嘴が黒く見えますので、何だかよくわかりません。


夕食

民宿のおやじさんが朝から魚釣りに出かけ、釣果がそのまま
夕食になり、見たこともないような、でかいキンメダイの
刺身は素晴らしく、カツオも豊富で気持ちよくいただきました。

旅は食事が楽しみですが、期待通りの味とボリュームでした。


島の夕日

夕陽を見るポイントというのがありましたが
東シナ海に沈んでいく夕陽は見ごたえがあります。



4月29日  晴




ミゾゴイ

まだ日の出前の5:18 歩いているとなんだか大型の鳥のかげがあり
ミゾゴイに見えたので高ISO撮影に挑戦

ISO 32,000
SS  1/40
F値  5.6

三脚に固定してSSを落とせば、もう少し見られる程度には
なりそうです。

一応、記録にはなりました。


シロハラホオジロ

道路で採餌していますが、人の気配に竹やぶに飛びこみ
なかなか姿を現しません。

普通なら遅くとも10分くらいで、再び道路に出てくるのですが
待てど暮らせど竹やぶの中です。


コサメビタキ

この地でのホオジロ類は難敵ですが、コサメビタキは
枝や電線に止まってくれるので観察がしやすく
有難い存在です。



アマツバメ




ツミ

アカハラダカ以外にツミも見ることができましたが
いずれも単独で渡っているというイメージは感じられなく
今回のように歩いて観察している場合は
猛禽類を見つけるのは難しく、本格的に見るのであれば
やはり定点での観察になると思います。

なお、私は見てはいないのですがハチクマを見られた方がおられ
お聞きすると、台湾にいる亜種のようだと言っておられました。


オオミズナギドリ

島は海岸以外はかなり高いところにあり周辺の海が
見渡せ、驚くような潮の流れが見られ
素晴らしい漁場だと確認でき
そのためか大きなオオミズナギドリの姿を見られます。

陸地から、これほどのオオナギが見られるところは
少ないのではないでしょうか。





朝食後は観光に徹することにして、有名な東の浜港の北にある
穴口を目指しますが、徒歩で行くには少し距離があり
炎天下の歩きは大変ですが、眺望は素晴らしく
悪石島や諏訪之瀬島などが彼方に見えています。

畜産業は島の重要な産業であり、いたるところで放牧された牛を
見ることができますが、あくまで商品のため島の人や
旅人の口に入ることはなさそうです。


サンゴ礁

島の周辺はサンゴ礁が発達していて
いかにも南国という雰囲気で海の色も
南西諸島と遜色がありません。




穴口

くぼみに入った石が波に洗われ、くぼみを侵食して大きな丸い
潮溜まりとなったもので、中をのぞくとチョウチョウウオや
オヤビッチャなどが見え、時間の立つのを忘れさせます。

ただ、道から海岸沿いに歩くには、足元が悪くごみも多いので
難儀します。

海岸にはサンゴ礁のかけらやタカラガイなどの貝殻も見られます。



4月30日 小雨のち曇




ムナグロ

いよいよ最終日となってしまい、いつものように
あちこち覗きながら歩き、お寺の下の草地で
ムナグロを見ましたが、この島は水田がないようで
シギチを見るのは難しそうです。


フェリートカラ2 デッキ

島を出港して鹿児島港へ到着するまで
およそ10時間の船旅の始まりで
海鳥や海生哺乳類を探す楽しい時間の始まりです。

この船旅は、今回の旅行の楽しみの一つでもありました。

この船は屋根もついていて風よけもあることから
海鳥観察には適していますが、少し狭いのが欠点です。


オオミズナギドリ

オオミズナギドリは大きな群れで飛んでいて見やすいのですが
他のミズナギドリ類は見られないようです。

少し季節が下がればアナドリなどが期待できそう。


カツオドリ

多い時は14羽程度の群れが見られ、豪快にダイビングして
トビウオなどを狙っています。

アカアシカツオドリやアオツラカツオドリは
これも季節が下がれば見ることができるかもしれません。




ゴンドウクジラの仲間

海鳥を探しているときに鯨類が見られることがありますが
なかなか写真には撮らせてもらえません。
潜って次に浮上する場所を予測するのが難しいのです。

冬季はきっとザトウクジラが見られることでしょう。


シャチ

驚いたことに撮ってみたらシャチで
こんなところで見られるとは思いませんでしたが
他の方の画像で典型的な顔の白斑が見られました。

海生哺乳類も海鳥と同じように南の海は少ないと思われます。


シロハラトウゾクカモメ

肉眼では到底見えないところの海鳥を同宿した方が
見つけてくれ、確認したところ東シナ海で
よくみられるシロトウでした。

後残るはアカエリヒレアシシギだけだったのですが
残念ながら見ることはできませんでした。




旅行費用

交通費  北九州市内-鹿児島中央  新幹線2枚切符  20,580円   (北九州市内-博多駅までは特急列車)
     鹿児島港-平島          7,010×2=14,020円
       鹿児島中央-いづろ通り       170×2= 340円

宿泊費  (1泊3食)           7,500×6=45,000円 

合計                         79,940円

終わりに

離島の探鳥は当たりはずれが多く、ベテランの方にお聞きしても
すごいのは数回しかないようで、なかなか厳しいものがあります。

離島らしい鳥は見られても、期待している珍鳥というものに
めぐり合わなければ満足できないようで、期待が大きいほど
落胆も大きくなります。

鳥がいない、鳥がいないと嘆いて、ますますストレスをためて行っては
探鳥旅行も味気ないものに、なってしまいます。

少し時間があったので心の持ち方を変えてみることにして
この素晴らしい大自然の美しさと、島の人たちとの語らい
のんびり流れゆく時間を楽しんで、そのうえで好きな鳥が
見られたら、本当に言うことがありません。

これからは、そんな鳥見の旅ができたらいいなと、思っています。


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