鳥旅 第9回 奄美へ

奄美大島 2014.04.02〜04.05



ズアカアオバト

はじめに

見たい鳥
ルリカケス、アマミヤマシギ、ズアカアオバト、アカヒゲ、リュウキュウヨシゴイ
オーストンオオアカゲラ、オオトラツグミ

ここも行きたい、あそこも行きたいと計画を練って出かけていると
やはり奄美大島は外せなく、いつかは訪問したいと思っていましたが
やっと念願がかない行くことができました。

いろいろ事前にコースや日程、費用などを調べますと
旅行会社のフリープラン、レンタカー付がコストパフォーマンスが良く
これに決めました。

準備

いつもの鳥旅に持参するもの以外に
奄美で特別に準備したのは夜間ウオッチングのためのマグライト
オオトラツグミの囀りの録音のためのレコーダー
   

一日目  福岡空港--奄美空港--龍郷町(奄美自然観察の森)--奄美市--住用町(三太郎古道)



ボンパルデイア ダッシュ8

飛んでいる姿は良く目にしていましたがなかなか乗る機会がなかったのですが、

静粛性が優れた機体とのことですが、エンジンの近くの席だったので騒音の大きさに驚き
帰りは一番後ろの席に変更しました。

通常の飛行機では翼付近の席は全く下を見ることはできませんが、高翼機のためどの席でも眺望は良く
晴れていたので薩南やトカラの島々を眺めながら下界の眺めを楽しむことができ
頂いたコーヒーもおいしかった。
ただ、74人乗りのため機内持ち込み容量の制限があり注意しなければなりません。



奄美自然観察の森 展望台から

奄美空港到着が12時50分で、いくつかの訪問地の中で空港から
一番近いのは笠利町の大瀬海岸であったが普段見慣れているシギチより
とにかく奄美の固有種をまずは見たいと思い龍郷町の奄美自然観察の森へ行くことにしました。

レンタカーを借りうけ一路龍郷町へ向かいます。海岸線に別れを告げ山道を登り切ったところから
尾根づたいに車を走らせていると、突然、目の前から4羽のアオバトが飛び出します。
ズアカアオバトです。沿道沿いに植えてある、ヒカンサクラの実を食べているとのことで
食事中は警戒心も少しは薄れるようです。

展望台からの眺めは素晴らしく、ここからタカの渡りが観察できれば絵になりそうです。
目の覚めるような新緑はイタジイらしく、独特の景観を生み出しています。





奄美自然観察の森の野鳥たち


ここで見ることができる野鳥を説明しています
ただ、私の印象としてはここでは
あまり鳥が見られなかったので少し失望
園内の水場で水浴びの鳥を狙っている
鳥屋さんがいました。
駆け足の私たちには時間がありません。

じっくり粘れば良いところなのでしょうね。


ルリカケス

森の中を歩きはじめますが、とにかくハブが心配で、いきなりガブッとやられたらと思い
足元ばかりを気にしながら歩いていきます。
カケスのような鳴き声が聞こえるので、木立の中を探すと光沢のある紛れもないルリカケスです。
ただ、暗い森の中ですから満足のできる写真にはなりません。
ルリカケスはこの後、いろいろなところで見ることができましたので
難しい種ではないと思います。

さて、恐ろしいハブですが滞在中、夜中や早朝も含め山道を走り回りましたが
見ることはありませんでした。草むらに入っていくとか、木のほこらに手を差し込むなどの
ことをしなければいいようですが、注意するに越したことはありません。





亜種 アマミコゲラ

まともに見ることができたのはアマミコゲラで
コゲラとは少し色が違っているのでしょうか。




ツバメ

川の付近でかなりの数のツバメが飛び回っていて
てっきり、リュウキュウツバメと思って熱心に撮影しましたら
写っているのはすべてツバメでした。


三太郎古道

奄美自然観察の森から山道をとおり、本茶峠を経由して奄美市内へ向かい
今夜のナイトウオッチングにそなえて、三太郎古道へ下見に出かけました。
国道58号を南下し東城付近に案内看板がありますのでそこを右折。
古道といっても片側一車線の舗装された道ですのでスムーズに通行できます。

下見が済んだので奄美市に引き返し
ホテルにチェックインし夕食をすませ、再び三太郎古道に向け出発
完全に日が落ち、辺りが真っ暗になり、そろそろと車を走らせますが対向車を含め全く誰もいません。
突然、目の前から飛び立ち、暗闇の中に消えていきます。アマミヤマシギだ。!!
次に現れたアマミヤマシギはすぐ逃げもせず、固まっていますので、じっくり観察することができました。






二日目  奄美市--住用町(三太郎古道)--住用町西仲間--名瀬大字小湊--金作原



アマミヤマシギ

ホテルを4時に出て三太郎古道へ向かい暗闇の中を登っていきますが、突然、目の前から
アマミヤマシギが飛び立ち、朝方も見ることができるのがわかりました。
さて、撮影ですが事前にテストもせず今までに夜なの写したこともないのでぶっつけ本番です。

何にも写っていないようですが、よく見るとかすかに鳥の姿が見えてきませんか?
ISO感度 12800  シャッタースピード 1/500  絞り  5.6  レンズ 500mm×1.4
ソフトで目いっぱい感度を上げても、これが精一杯です。
完敗でした。





オオトラツグミ

地元では例年オオトラツグミの調査が行われていて、夜明け前から山に入るとのことで
今度の旅はオオトラツグミのさえずりの録音も目標にしました。
空が少しずつ明るくなり始めたころ、森からきれいなさえずりが聞こえます。
オオトラツグミだ。意外と簡単に目標を達成し、録音を始めます。
囀りも何とかゲットしたことから、今度はなんとか姿を見てみたいと
車から降りて木立の中を双眼鏡で丹念に見ていきますが、なかなか見つけることができません。
トラツグミの印象は林床の上を歩いている鳥ですが、オオトラツグミは木立の中です。
しかし、粘ったかいがあってやっと見つけることができ、カミさんを呼びに行っているときに
飛ばれてしまいました。残念!!






三太郎峠 茶屋跡の石碑

三太郎峠の由来が記された看板が古道横に建てられていますが
あまり観光客が訪れるところとは思えません。

由来は三太郎こと畠中三太郎は薩摩半島川辺郷田部田村に生まれ農業指導員として
来島し、ここ三太郎峠の山林を入手し開墾を始めたとのこと。

あの柳田圀男がここを訪れ「海南小記」で三太郎峠を紹介している。





ルリカケス


三太郎古道から西仲間方面へ山を下っていきますと
あちこちからルリカケスやアカヒゲの声が聞こえてきます。

ここで、初めてじっくりとルリカケスを見ることができましたが
個体数はかなり多いようで、この先も頻繁に出ました。


アマミノクロウサギ

闇夜の烏ではないのですが、暗い夜道のクロウサギの看板がたくさんあり
アマミヤマシギを見に行った時の夜道で、幸運にも
二度ほど姿を見せてくれました。あまり行動は活発ではないようで短い耳を
しっかり見てきました。





リュウキュウツバメ

小湊でリュウキュウヨシゴイを探しますが
残念ながら見つけることはできません。
見たところあまり生息に適したみたいには見えませんが
探せばいるのでしょうね。

川ではたくさんのリュウキュウツバメが飛んでいます。


金作原原生林への道

奄美の観光地の一つに金作原原生林がありますが
ここに行くまでかなり手こずり、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり右往左往状態
と言うのも林道は途中までは舗装されているのですが、その奥はダートで道も荒れていて
とても普通乗用車で進むことは困難でした。
林道では携帯も圏外となり、なにかトラブルでも起きたら万事休すで
小心な私は先に進むことはできませんでした。

一回目は奄美市内からハブセンターまえの道を進みましたがダートで引き返し
二回目は小宿から林道を登りましたが、これもダートで引き返し
三回目は知名瀬ルートに挑戦し、やっと念願の金作原原生林に到着しました。
ここも最後はダートになっていましたが、あまりひどい道ではなく何とかクリアーしました。
ダート道は約1.5mと書いてあったような気がします。

ガイドさんがいればこんなに手間がかからなかったのですが、個人旅行は致し方ありません。


金作原 国有林


やっと金作原国有林へ到着しましたが
先に着いたツアーのお客さんがおられました。

細かい雨が降っていてカメラを持たず
傘をさして林道を進みます。

すると、突然、すぐ目の前の木に
なんとオオトラツグミがとまりました。
カミさんは三太郎古道では見ることができなかったので
初見となりました。
カメラを持ってなかったのが悔やまれます。


ズアカアオバト

金作原からの帰り道で道路にシロハラクイナが
見えましたので、付近を探したところ
樹上にズアカアオバトがとまっています。
今度はしっかりと見ることができました。
南西諸島に生息しているとのことで
以前、何度か沖縄でも探したのですが結局
見ることはできませんでした。
この鳥もこの奄美ツアーで是非とも
見たい鳥の一つでした。
割合すんなりと見ることができましたので
おそらく生息数が多いのでしょう。

鳥を見ているときに地元の方に挨拶をすると
早生のビワをいただき、いろんなお話を伺うことが
できました。

このような触れ合いも旅の印象に残りますね



三日目  ホテル--金作原--ホテル--秋名--龍郷町(奄美自然観察の森)--龍郷町(ホテル)



金作原

早朝から金作原を目指し車を走らせますが、細かい雨が降り
強い風が吹いています。
夜明けまで車で待機し夜が明けはじめると小鳥たちの鳴き声があちこちから
聞こえてきます。
ただ、姿を見るのはなかなか難しくメジロとヒヨドリくらいしか確認できません。





朝食 600円!!

今日はホテルで朝食をとることにして、観察を早めに切り上げます。
なにしろ、いつもはコンビニやスーパーの弁当やおにぎりですから
まともな食事では、つい食べ過ぎてしまいます。

奄美では一度食べてみたかった鶏飯も食べることができ、サラダもスイーツも
ブッフェ形式で提供されていますので大いに感動いたしました。

この食事が奄美の一番の驚きだったのでは野生動物に対して
失礼だったかな。





ホテルでチェックアウトをすませ、秋名へ向かいます。
秋名ではリュウキュウヨシゴイを探したのですが見ることはできませんでした。
やはり、早朝に行かないとダメなのでしょうか。

一日目に行った奄美自然観察の森を再度訪れましたが
特になんの成果もなくシロハラを確認したくらいです。

少し早めにホテルにチェックインし、途中買い物もできなかったので
従業員の方に大型商業の場所を聞いて夕食の調達に出かけました。


コウノトリ

ホテルに帰る途中、いかにもヨシゴイがいるような池があったので
ちょっとのぞいてみようと思って池に近づくと大きな鳥が見える。
当初はツルかなと思って見るとなんとコウノトリ!!
カラーの足環が見え、豊岡で放鳥された鳥と思われる。
そういえば、南のほうでコウノトリが出たというニュースがあった事を思い出した。
買い物途中なので急いでホテルに引き返し、カメラをとってきた。


イソヒヨドリ

海岸近くでは至る所にイソヒヨドリの姿を見ることができ
きれいな声で囀っています。


サシバ

サシバは私たちにとってはタカの渡りで出会いますが
ほとんどが飛んでいて、とまっているのを見る機会はほとんどありません。
この時期、サシバが多くいろいろなところで出会いましたが
樹木や農業用のスプリンクラーにとまり、あまり人を警戒しません。
突然、飛び立ち驚くことも多く、じっくり観察することができました。


リュウキュウサンショウクイ

これほど近くからサンショウクイを見たのは初めてで
案外大きいのだと感じました。
この時期は近くで見られるのでしょうか。


モダマ 奄美市指定文化財

説明の看板によるとマメ科のつる性常緑植物で
さやは大きなもので長さ1〜1.5m 幅 10〜15cmで
直径5cmの種が10〜15個はいっているとのことで
自生地は屋久島を北限として南西諸島に分布しているそうです。

巨大なさやを見てみたいものですね。






四日目  龍郷町(ホテル)--住用町(三太郎古道)--笠利町(大瀬海岸)--笠利崎灯台--空港周辺--奄美空港--福岡空港



もう奄美には来ることがないかもしれないと思うと何とかもう一度
三太郎古道に行きたくなり、ホテルを早朝に出発します。
前日より遠いところからですが交通量も信号機も少ないため、スムーズに走行できました。

夜明け前に現地につき、再度オオトラツグミの囀りを録音し
明るくなってから鳥を探すと、いろいろな鳥が鳴いています。
多いのはやはりメジロ、シジュウカラ、ヒヨドリなどでアカヒゲも数羽でさかんに鳴いていて
丹念に探しましたが結局見ることはできませんでした。


オーストンオオアカゲラ

ドラミングは聞こえますが、なかなか姿を見せてくれません。

それでも双眼鏡であちこち見ていると、いました。オーストンオオアカゲラ
想像していたよりも大きく、存在感があります。

調べるとオーストンというのは人名で貿易商であり博物学者
明治4年に来日し日本の貝類や魚類を研究したとのことでした。


笠利町 大瀬海岸

干潟は方々にたくさんありますがこの大瀬海岸以外では
サギくらいでシギチの姿を目にすることはできませんでした。
ここは普通の干潟と違っていて、岩と砂でできた海岸のようです。

コチドリ、シロチドリ、オジロトウネン、ウズラシギくらいしか
見つけることができませんでしたが丹念に探すともっと多くの種類に
出会うことができると思います。

わからないシギチの識別は頼りになる師匠にお願いしました。






ウズラシギ




オジロトウネン

右がオジロトウネン
左がコチドリ

シギは識別が難しい!!





ハヤブサ 成鳥

サシバ同様、いつもは飛んでいるところばかりなので
このように止まっているのを見るのは新鮮です。

しかし、海岸のシギチにとっては、これ以上にない脅威
なのでしょう。

このハヤブサはオオタカ幼鳥が捕えたシギを
横取りするために飛んできたのですが
私がオオタカからシギを解放しました。

オオタカさん、ごめんなさい。


スイートポメロと亀  笠利崎灯台にて

スーパーでスイートポメロという柑橘を見つけたが
初めて目にするもので鹿児島県で作られたもので
晩白柚に似たさっぱりとした味わいでなかなかの美味で
おいしかったので追加で買って鳥見の途中で道端に座り込んで食します。
このような楽しみは旅ならではですね。

ちなみに価格は奄美市のスーパーで2個 298円でした。

笠利崎にはきれいな灯台があり、その上をサシバとノスリが飛んでいます。





クロサギ

この岬で奄美に来てはじめてクロサギを見ましたが
白いクロサギではなかったので識別は容易でした。


笠利のリーフ

見晴らし台からの眺めは素晴らしくサンゴ礁のリーフが広がっている。
陽射しの加減で色が変化し眺めていてもあきません。





飛行機の時間まで間があったので空港近くの畑でミフウズラを探します。
しかし、いるのはサシバくらいで、これだけタカがいるのであれば
ミフウズラも出てくるわけがありません。

この鳥を目的に早朝から粘れば、なんとか見ることもできそうです。
次回の楽しみにとっておきましょう。

費用

ツアー代金  47,050円(ひとり当たりレンタカー込み)
走行距離    480km
レンタカーガソリン代 5,134円(27.17L×175円) 
空港駐車場      2,400円

おわりに

奄美大島から帰ってから思ったことは、また機会があったら再訪したい。自然の中にどっぷり浸ってみたいとの
印象を強く持ちました。

今回は3泊4日だったのですが、総花的に見て回ったので全くゆとりがありませんでした。
沖縄や先島諸島とよく比較されると思いますが、なんだか私には奄美のほうが自然が残され観光地化されてない
魅力的な島に思えます。

ただ観光地化されてない分、不便さはあり
朝は5時ごろから出かけ、昼も車の中で弁当やパンをかじるスタイルの私たちはスーパーやコンビニはかかせません。
いつもの生活のなかではありふれた、このような商業施設も
ここ奄美大島は多くないため、事前の下調べが大変重要だと感じました。ただ小さな商店はそこそこあります。

かみさんの奄美の印象は日中も夜間も全く救急車のサイレンを聞くことがなかったので驚いたとのことです



ホームページへ戻る。