鳥旅 第10回 エトロフウミスズメを求めて



2015.03.04〜03.08



はじめに

数百羽の黒い塊で雲のように見えるというエトロフウミスズメを何とか見たくて何度か 2月、3月のフェリーに乗り
探鳥をしたのですが、全く見ることができませんでした。

今年こそはと、意気込んで今まで利用したことのない大洗、仙台航路に乗ってきました。

普段利用する太平洋フェリーは苫小牧に11時に着くことから、三陸や北海道周辺では
十分な時間が取れないため、ほぼ終日、東北の東岸を見ることができる大洗ルートに行くことにしました。


日程は通常の旅行であれば2か月前くらいには予約を終了させておくのですが
この時期は次々と発生する低気圧のために、海上は大荒れという日が多く長期予報を参考に最終的には
出発の2日前に決める事にしました。


また今回は絶対見てやろうと強い願望で八戸航路も行くことにしました。

八戸航路は以前太平洋フェリーで乗り合わせた人が、このまま八戸を往復して再び太平洋フェリーで帰るという話を
されていたので、その時はあまり気に留めていなかったのですが、ふと思い出して計画に入れてみました。




1日目  

小倉-福岡空港-茨城空港-水戸−大洗-サンフラワー

九州から大洗に行くには羽田空港から鉄道かバスを利用しますが移動距離が長く
サンフラワーの乗船は二の足を踏んでいたのですが、Mさんから茨城空港の利用を
勧められ検討したところ、福岡までの移動の手間はかかるものの、なかなか良さそうです。

また、スカイマークは座席数が限定されていますが前日と当日であれば60歳以上は10,000円で搭乗できる日も設定されていて
今回のように直前で出発日を決める旅行には非常にお得な方法です。


19:30に茨城空港に到着し連絡バスで水戸へ、さらに鹿島臨海鉄道で大洗へ
やっとサンフラワーの旅客ターミナルに到着しました。

出航は次の日の1:45分ですが乗船開始は22:30分と公共の交通機関を利用してきた人には
大変ありがたい配慮がなされています。



部屋は4人部屋ですが私だけでしたので個室状態で利用でき快適に休むことができました。

小さなテーブルとイスが窓側についています。




3月5日  

さんふらわあの航路図

カメラ内のGPSログが利用できるようになったので初日だけ試してみました。

観察開始から終了までで
宮城県金華山沖から北海道の恵山岬沖となっています。

この機能はまるで海鳥撮影のためにあるようですね。

地図に表示された航路とは違い、かなり陸側を通っています。



左舷 デッキ

日の出が6時なので、少し前にデッキに出る。

さんふらわあの左舷デッキは構造物がほとんどないので
吹きさらしになり観察は大変。

このような観察に慣れていないので、わずかにドアの前にある
防風板を利用して見ることにした。






左舷 船内

デッキに出るドアの横に大きな窓があるので
鳥の出ない時に、ここから双眼鏡で探し
見つけたら外に出るというお気楽な観察スタイルを
とることができた。

外に出ていると、かなり冷えてしまうので体を温める事が
できるのも、有難い。





姉妹船 さんふらわあ だいせつ

10:19に姉妹船 だいせつとすれ違う




右舷デッキ

右舷には構造物があり、風と飛沫を避けることができ
ここでは、この時期でも長時間の観察が可能です。





(09:11)ミツユビカモメ   (12:54)トウゾクカモメ


(14:06) アホウドリ 幼鳥

見ているときはクロアシアホウドリと思っていたら
アホウドリの幼鳥だった。

もう少し近ければよかったのだが。


(15:44)  コウミスズメ

背中にある白い縦班が特徴で
白い虹彩が目立ちます。


(14:20) ハシブトウミガラス

北の海の主役の一つがこのハシブトウミガラス

日が射しているので海の良い色が出ている。



(15:11) ウミオウム

見ているときは気が付かなかったが後で画像を確認すると
ウミオウムで、まれに見られるくらいの珍しい種なので
大変驚いた。

ウミスズメ類やウミツバメ類は特にそうですが海鳥は
全般的に画像での確認が必須のように思います。






ウミオウム


(15:52)ハシブトウミガラス

ウミガラス類は浮かんでいる姿や横からの飛翔する姿を
よく見ますが、このように上から見ることはなかなかないようで
翼上面の白い縁取りが目立ちます。




恵山岬沖で観察を終了し苫小牧には19:45に入港した。

次の八戸行は23:59で4時間も待たなければならない。

乗船開始が23:00で公共交通機関利用者のためにも
もう少し早めに乗せてくれれば、有難いのだが
ただ、苫小牧港の売店は営業しているので食料や飲み物を
調達できる。

八戸フェリー シルバークイーンに乗船

3月6日  



八戸フェリー シルバープリンセス 左舷デッキ

八戸には7:30に到着し、すぐ8:45の苫小牧行に乗船するが
とんぼ返りで乗る乗客は、もちろん私一人

この便こそ全行程の観察が可能な海鳥ファン垂涎の便だと思います。

八戸港内にはスズガモ、クロガモ、カンムリカイツブリなどが確認できました。

この船は風を避けることができる場所があるので観察には適しています。

近頃は船を見るたびに観察に適しているかどうかが気になっています。

ドアには荒天時、強風時にはデッキ上へは立ち入ることができない旨の
注意書きがありました。



(9:32) ハシブトウミガラス

ウミネコはたくさん飛んでいますが、海鳥はなかなか見つからず
少し焦っていましたが、やっとハシブトウミガラスの群れが浮いているのを
見つけましたが50羽以上の群れで、これほどの数は初めてです。



(9:40)  エトロフウミスズメ

遠く、列を作って飛んでいる鳥の群れを見つけ、当初はクロガモかと
思いましたが、よく見るとこれがあのエトロフです。

かなり興奮してしまいました。

この先の航路上で頻繁にかなりの数のエトロフを見ることができましたが
活動域は少し陸側にあるのでしょうか。



(10:21)エトロフウミスズメ


(9:56) コアホウドリ

海がべた凪なので多くの海鳥が浮かんでいて北の海で良く見ることが
できるコアホウドリをかなり近くから撮影



(10:18)コウミスズメ


(10:45)  ウトウ

この航路ではウトウを見る機会がほとんどなく
不鮮明なこの画像のみです。

見落としがあったか、活動域を通過しなかったか
良く分かりません。


(11:23)ハクチョウ類

16羽くらいのハクチョウの群れが北を目指して飛んでいる。

渡りの時期には時々見る光景でマガンを見ることもある。




(12:33) エトロフウミスズメ



(12:23)ハシブトウミガラス


(12:49)姉妹船 シルバーエイト

こちらは苫小牧を9:30に出港するシルバーエイトで
次に太平洋フェリーからこの船が見えれば、今までとは
違って見えるだろう。

この船も終日の観察が可能だが見た感じでは鳥見には
船体の構造的に向いていないように見える。


(14:59) シロカモメ




(15:34) シノリガモ

苫小牧港に入港 シノリガモが見える。

入港時刻は16:00で次の太平洋フェリーの出航は19:00
ただ、17:30に乗船開始となるので、あまり待たなくても
良いので助かる。

食料と飲み物を購入して乗船



3月7日  



フェリーで鳥見をしている人に出会うのはめったにないが
この旅ではじめてバーダーに会う。

毎月くらいにフェリーに乗られているとかで
相当なベテランの方で、いろいろな情報を教えて頂いた。


(7:20)アホウドリ 幼鳥


(8:06)ウトウ

普段はこの時期、この海域では良く見ることができるのですが
非常に少ない印象を受けました。

船の通り過ぎるのをじっと見ている姿はかわいいものです。



(9:08)ウミスズメ


(9:44) ハジロカイツブリ

ミミカイツブリはいないかと目を皿のようにして
探したのですが、ハジロカイツブリばかりです。



(13:57)アカエリカイツブリ



3月8日  


いよいよ鳥旅も最終日となって名残が惜しいがしかたがない

最終日のハイライトは伊良湖水道で、良い漁場となっていて、当然鳥も多く
面白いが冬季以外はあまり良い思い出がない。

朝、浜名湖沖くらいから観察を始めたがオオミズナギドリがかなりの数、飛んでいる。


(7:05)シロエリオオハム かな?

オオハムとシロエリオオハムの区別は難しい
とくに飛翔時はわかりません


(7:20)ヒメウ

なぜかこの海域で見ることが多く、黒紫に光る翼がきれいです。



(7:24)カモメ  トウゾクカモメ



(7:32)ミツユビカモメ 幼鳥



(08:00) スナメリ 仙台港でも見られたが、ここ伊勢湾でも見ることができましたが
この期間中は、海獣類は少なく、少数のキタオットセイを見た程度でしたので
スナメリを見られたのは幸運でした。


おわりに

旅を終えて、当初の目的であったエトロフウミスズメは幸運にも見ることはできましたが
できればもう少し近いところを見てみたかった。

ただ、期間中 晴天に恵まれ、きれいな色で海鳥を撮影することができました。

この計画は北の海を重点的に見るには、今のところベターな選択ではなかったかと思いますので
もう一度見てみたいハジロミズナギドリもこの行程で行きたいと思っています。



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