鳥旅 第五回  

 小笠原諸島と、はるかなる硫黄列島へ

 硫黄三島クルーズ


シロハラミズナギドリ

日程

2012年7月9日ー7月14日

  7月9日  10:00  竹芝桟橋
  7月10日  11:30分 父島 入港
       19:00 父島 出港
  7月11日  6:00  南硫黄島
       19:00  父島 入港
  7月12日  7:30  父島 出港
       9:40  母島 入港
       14:00   母島 出港
       16:10   父島 入港
  7月13日  14:00   父島 出港
  7月14日  15:30   竹芝 入港
 

はじめに

  いつかは行ってみたいなと漠然と思っていた小笠原、火山列島がこんないも早く実現するとは思わなかった。
  なにしろ海鳥目的の航路はまだ一度しか経験がない。しかし、たった一回でも面白さは十分わかった。

何がきっかけで小笠原海運のhpを見たのかわからないが、とにかく行ってみたいととの思いは抑えられなかった。

硫黄島まで行くクルーズが年に一度小笠原海運で行われていて、日本でもここだけしか見られない鳥に出会うことができる。
しかし、そのあとが大変でクルーズの予約を取るために電話するがずっと話し中。
また、宿も自分で探すことになっていて宿の一覧から電話をするがどこも満杯。さいごに観光協会に空いているところを
尋ねると簡単に見つかった。しかし、早めに申し込むにこしたことはない。なにしろ小笠原はキャンプ、野営ができないのだ。
船で3泊、父島で2泊と決めたが母島に1泊したほうが良かったようだがこの期間はツアーがはいっていて、母島はどこま満杯だったようだ。


竹芝桟橋

おがさわら丸 通称 おが丸
総トン数    6,700トン
全長     131m
速度      22.5ノット
旅客定員    1,036名

航空機を利用する者にとってこの港は大変ありがたい。
朝一番でくればゆっくりと間に合う。

事前にこの船は混雑するとは聞いていたが
ほぼ満席のようでチケットを購入する列が延々と続いている。
しかし、三島クルーズは別の窓口で簡単に乗船券をもらうことが出来た。

後でわかったがクルーズの参加者は父島からの人も含めて141人だったらしい。



沿岸風景

やっと桟橋を離れ航海が始まった。
いつもとは違う景色にみなさんのんびりと船の旅を楽しんでいる。

東京湾を抜けるのに約3時間
それまでは、お目当ての鳥も出ないのでのんびりしておこう。



二等客室

これでも定員を減らしたそうだが、人が寝ていれば歩くのは大変
また、荷物を棚に入れたら端の人以外は取ることが出来ない。

そのため、必要なものは横において寝なければならない。
客室にもコンセントは、少なくそれがスマホの充電に使われていて空いているところは全くない。
パソコンを使ったり、電池の充電等に必要なら二又のコンセントは持っていくべきだ。

風呂はないが24時間利用が出来るシャワー室がある。
洗面所もトイレも清潔で感じが良い。



最上階 デッキ

まず、どこで鳥見をするかを探すため、船内を歩き回る。
最上階は眺めは良いが、灼熱の太陽が照りつけるので無理。
一般のお客さんが眺望を楽しんでいる。



Aデッキ

最上階の下のデッキで、ここがメインの観察場所となる。
すでに多くのカメラマンが三脚と超望遠レンズをセットしている。
ここは雨も日差しも防げるので最高。海面からの高さもあまり高くない。

スコープで見ている人もいるが入れるのが大変だろう。



オオミズナギドリ

最初に現れるのがオオミズナギドリで時折、アナドリも飛んでいる。
しかし、なにか飛んでいることはわかっても、
とうてい私にはアナドリと同定することはできない。


モニター

通常は伊豆諸島のかなり東側を通過するのだが
このクルーズでは特別に海鳥観察の人が多くいるので
三宅島、御蔵島、八丈島の近くを通るといった嬉しい配慮がなされている。



売店と案内所

自動販売機もたくさんあるが売店があり簡単に買えて便利。
パンも売っていて、けっこう買う人も多い。

案内所で早朝のデッキ解放の時刻を聞く。
日の出の20分程度前に鍵をあけるそうだ。



食事 カップ麺とパン

船内レストランがあるが、利用したのは一回きり
あとは持って行ったカップ麺やパン
熱湯はいつも使うことができるのでありがたい。

もちろん帰ってきてからしばらくはカップ麺とパンは見るのもいやだった。
ただ、椅子やテーブルは非常に少なく悪くすると客室で食べる羽目になる。



船内レストラン

立派なレストランが営業しているがなかなか敷居が高いみたい。
それでも名物の塩ステーキとやらを食べる。

ただ、このスペースは夜だけ、営業終了後に使うことが出来るのはありがたい。




カツオドリ

やっと定番のカツオドリ出現。私も含めてみなさん懸命に撮っている。
非常に近くを飛ぶので携帯でも十分撮ることができるほど。

ずっと船についてくるがこれは船に驚いて飛び出すトビウオを
狙っているためだ。



トビウオ

目に入れば海鳥にみえることもあるがトビウオだ。

思った以上に、飛行距離がながい。
しかし、長ければ長いほどカツオドリの標的になりやすい。
トビウオには気の毒だが狩りは見ていて楽しい。




アナドリ

この鳥は伊豆諸島近海から南硫黄島まで見ることが出来た。
適応力が優れているのだろう。背中の模様が目立つ。
最初はわからなかったが他のミズナギドリと比べて飛び方が
ちがう。左右に体を振りながら飛ぶ。
そのため、なかなかカメラに収めることが難しい。



アナドリ 下面



マッコウクジラと思われる

航海中、なんどか鯨類に遭遇する。
ザトウクジラはいないと思われるのでマッコウクジラだろう。

ブローが遠くから確認できるので探しやすい。




シロハラミズナギドリ


念願のシロハラミズナギドリだ。翼下面の模様がきれい
くちばしの周りの白がよく目立つ
オナガミズナギドリも下面は白だが
シロハラのほうが純白に近く、同定はしやすい。




シロハラミズナギドリ 背面

淡く背面にM字模様が見えている。


小笠原列島 父島が見えてきた。

海の青さがまったく違い、日差しもきつい





クロアジサシ

初心者の私から見るとアナドリに似ているが
滑翔をせず、ずっと羽ばたいている。
ヒメクロアジサシとは区別がつかいない。
ただ、ヒメのほうは茶色みが少ないらしい。


父島の風景

アメリカの統治時代があったとかで、モダンな建物も多い。
メインストリートの両脇にショップや飲食店、ペンション、民宿などが
並んでいる。

各種、ツアーの申し込みもこのあたりに集中しているみたい。



二見ヶ浦

港は非常に静かだ。カモメやトビ、カラスなど
全くいない。いつもの港の風景を見慣れている者にとっては
なんだか不思議な感じがする。

父島の中心地は大村地区
前の砂浜にアオウミガメが産卵に来る。

ビロウも葉で葺いた小屋が海に良く似合っている。



父島のスーパー

スーパー、COOPなどがあり便利だが、なにせ閉店時刻が午後4時らしい
役場近くに夜の12時まで明いている店舗があり助かる。

おが丸の到着した日は生鮮食品、野菜、果物で店舗の外まであふれている。
もちろん、住んでいる人も大勢集まっている。

壁の亀の甲羅が特徴的




オナガミズナギドリ 上面

背中のウロコ模様やくちばしはオオミズナギドリによく似ている。
頭には白色部分がない。



オナガミズナギドリ 下面



硫黄島三島クルーズ オリエンテーション

父島で7時間すごし、夕方からクルーズの説明会が開かれた。
各部門の専門のスタッフが紹介され、全般の説明があった。

鳥を見るのがメインのようで、それぞれの島を数回周遊してくれるとのことで
なんだかワクワクしてくる。
もちろん鯨類も見られるようだ。



島塩ステーキ

一度くらいはレストランで食事をしたい。
名物のステーキを注文する。



南硫黄島での朝焼け

見事な南硫黄島での朝焼け。
なぜか北の空がこんな色に染まっている。



カツオドリと南硫黄島

ほぼ日の出と同じころ、最南端の南硫黄島に到着。
まるでむかしのキングコングの映画に出てくる絶海の孤島のよう。

この島の調査は難渋したらしくクライミングの技術がないと登れないとのこと。
なぜかこの島もほかの島も山頂にはいつも雲がかかっている。
湿度が極端に高いためだろう。



アカアシカツオドリ

いつの間にかアカアシカツオドリがマストにとまっている。
聞くところによると、場所は決まっていて、船の先端のマスト。

このクルーズだけは航海中、ずっと島や生物についての解説をマイクを
通して行ってくれ、鳥や鯨類の出現も方向まで丁寧に教えてくれ、ありがたかった。





アカアシカツオドリ



前方甲板

このクルーズは普段は入れない前方甲板と後方甲板に
立ち入ることが出来る。ただここは日よけもなく
手すりも高いので観察は大変

根性がないとこの甲板にはいられない。




アカオネッタイチョウ

南硫黄島でのお目当ては、まずこの鳥だろう。
島の中腹をかなりの数が飛んでいるが
小さくて目視は不可能。
ときおり、船の上空を通過するものがいるので
出来れば最上階で観察するのがよいと思う。


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シロアジサシ

この鳥も日本ではおそらくここだけでしか
見ることが出来ないもの。
ほかのアジサシとは見間違いようがないとおもわれる。



セグロミズナギドリ 下面

見たかった鳥の一つで硫黄島三島周辺には多い。
かなり小さく、羽ばたきが早い。



セグロミズナギドリ 上面




セグロアジサシ

海面より上を飛んでいたものを撮影。
その時はわからなかったが帰ってから見ると
セグロアジサシが写っていた。

海鳥ではこんな事が多い。


北硫黄島

この島は南硫黄島に似た感じだが昔は集落があったとか
島のくらしはどうだったのだろう。

この海域でもアカオネッタイチョウが見られた。




鳥山

おそらく大型の鯨類か魚類の狩りで小魚が群れているところに
セグロミズナギドリ、オナガミズナギドリ、クロアジサシなどが集結している。

このような画像は、帰ってから見ると楽しい。


おがさわら丸 全景

いよいよ母島へ。乗ってきたおが丸の全景が見える。

前日から12日出発のははじま丸は満席が予想されるので日帰りの人は
港で整理券を配るとアナウンスがあった。
そのため7時半出港だが5時から並ぶ羽目になり朝食もとることができなかった。
しかし、積み残された人はいなかったみたい。




母島のバナナ

射すような日差しで歩き回っていたら熱中症にかかりそう。
いたるところに果物が植えてあり最も多いのはパッションフルーツ
これは小笠原土産でもある。
次にパパイア、レモン、バナナなど。
島には本土から移住してきた人が非常に多いらしく、住みやすいところのようだ。




メグロ

母島に来たからには何が何でもメグロだけは見たかった。
ヒヨドリ、メジロは多いがなかなかメグロを見つけられない。
それでも待っていればたくさんいるようで歩き回るより
パパイアや花のそばで待っているほうがよいみたい。


ハンドウイルカと思われる。

人が多いと鳥はもちろん鯨類の発見も多い。
噴気孔がきれいにみえる。





天体写真に挑戦

アオウミガメの産卵が見たくて夜、深夜、明け方と通ったが
残念ながら見ることはできなかった。

しかし、あまりにも天の川がきれいに見えていたのでデジカメで
撮ってみた。シャッタースピードだけ30秒であとはすべてオート
撮れた画像はなかなかのものだった。



(仮称)オガサワラヒメミズナギドリ

このツアー中、みなさんの話題になっていたミズナギドリ。
実は途中でこの鳥を撮った人がいたようだ。

セグロミズナギドリとの比較は眼がきれいにみえることだそうだ。
セグロなどは頭の黒い模様が眼の下までかかっている。






小笠原海洋センターのアオウミガメ

おが丸の出港は14:00で、それまで近くのツアーでもと考えたが
行きたかったツアーはすでに満杯
この期間はツアー客が集中するので、事前に予約が欠かせない事を痛感

そのため、見られなかったアオウミガメを見に小笠原海洋センターへ向かう。
案内書には徒歩15分と書いてあったのだが、なかなか着かない。
よくみると徒歩35分となっている。
ここの施設は産卵したものを集めて、ここで孵化させ海に帰しているそうだ。

帰りは村営バスにて宿に戻った。



見送り風景

なかなか出発のセレモニーは力が入っている。
小笠原太鼓で盛り上がり
出港したおが丸と並走する。

ある程度走ったら船の上からダイビング
なかには別れを惜しんで一時間近くも並走する船がいた。
この海で4日間も一緒に過ごすと分かれづらくなるのは良く分かる。



アカボウクジラと思われる。

クジラとの声でカメラを向けたらうまい具合
ジャンプをしたクジラが撮れた。

小笠原ホエールウオッチング協会に同定をお願いしたら画像を見る限りでは
アカボウクジラとのことでした。
協会の皆様、ありがとうございました。



太平洋に沈む夕日

夕焼けはだれもが関心があるみたいで
多くの人がカメラを持って甲板に集まってくる。
これが最後の日の入りとなる。

船からの夕日もいいものだ。



下船

5泊6日の旅が終了した。海鳥三昧の素晴らしい旅だった。
見たかった鳥も、ほぼ見ることができた。

カミサンは船酔いを心配していたようで途中二度ほど酔い止めを
飲んだようだ。海はほとんどがべた凪の状態だったのに。





おわりに

中身の濃い6日間を過ごすことが出来た。
はじめはバードウオッチングツアーで行くつもりだったが
申し込みが遅かったため、参加できるか一週間程度の時間がかかるとのことで
個人旅行に変更した次第。

しかし、ツアーの人たちとは終始一緒で和やかに過ごすことが出来たし
ツアーガイドの人ともお話しでき、大変参考になる話を聞くことができ、感謝している。

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