タカの渡りを見に行こう




ハチクマの群れ



双眼鏡を持って、まず行ってみよう

登山やハイキング時に、うまくタカの渡りの時期にかさなり
すごい数のハチクマの群れや目の前をタカが飛んだのを見てから
バードウオッチングを始めた方も多いのではないでしょうか。

タカ類は一部を除いて、普段あまり目にするものではありませんが
渡りの時期はいろいろな種類のタカを、見ることができる絶好の機会です。

是非素晴らしいタカの世界を味わってください。

タカ見のポイントはパノラマ画像でもわかるように眺望抜群で
あまりタカを見ることができなくてもタカになった気分で景色を楽しむのも悪くありませんよ。

行く前に



タカ見に行こうと決めたら、たくさんのタカを見たいものですが
それでは、どんな条件で行けば良いのでしょうか。

1、ネットの利用

例えば秋のハチクマの場合は中部、東北地方などで繁殖を行い、9月初旬より
瀬戸内地方を通過し、五島列島より中国大陸を目指し、終着は東南アジアです。

各地でタカの渡りの観察を行っており、タカの渡り全国ネットワークにカウントが
掲載されていて、風師山より東の観察地の広島のデータがとても参考になり
そこでの数字を見て来られるとよいでしょう。

2、風向と風力の確認

タカは風を利用して渡り、無風の時は全くと言ってよいほど
飛びません。

また風向によって飛ぶコースが違い、少し離れるだけでも全く見ることができず
近くの観察地でたくさんのタカが渡っていても、ここではカヤの外ということも
しばしば。

風師山では北北西から西の風のときが条件が良くなり、いわゆる王道コースを
通過していき、迫力のある渡りを楽しめることでしょう。

ただ、風向の悪くても、日に何度かは近づいてくることがあるので
全くダメという事はありません。

3、天気予報の確認

出かける前に下関市と門司の雨の予想と風の予想のチェックは欠かせません。
山頂には雨が降ったときの逃げ場がないので

タカ見の時間

朝から出ます。近くで休んでいるタカが森から飛び出し
低く飛んでくれますので撮影のチャンスでもあります。

ただ、飛びたちは多くはありませんので、あまり期待しないでください。

午後はかなりの上空を通過する場合もありますので双眼鏡でなければ
捕捉できない程です。
夕方になれば渡りを終了し、ねぐらに入るように降りてくるタカを見ることがあります。

果てしない海上に飛び出して行く場合は夜明けとともに旅立つそうですが
それ以外は、ある程度太陽が上がり上昇気流が発生してから飛び立つものが多いようです。


観察スタイル

普通のバードウオッチングと違い、ひたすら待つことに専念します
そのため、ベンチにかけたりイスの利用などで楽な姿勢で待つことが重要
曇っていても一日観察を続けるとかなり日に焼けるので
日焼け止めクリームも必携です。

3月初め、10月、11月はかなり寒くなりますので防寒着も忘れてはなりません。
動いていると寒さは感じられませんが、待っているときは寒さが身にしみます。

紫外線も体に悪く予報も出されているほど
私たちは必ずサングラスをかけています。




下関市から見る風師山(かざしやま)

風師山は標高362mで三つの頂きがあり、それぞれ風頭(かざがしら)、風師山
南峰となっていて、眺望の良い風頭が一番人気で、ここで観察を行っています。

風師山の名称の由来・文化

風師山は、古くは挿頭花ノ山と書いて『かざしのやま』と言いました。
露出した山頂の岩場の形を昔の人は優雅に山桜のカンザシに見立てたのでしょうか。
誰しかも折りてかざしの山桜 人なとがめそ暮れぬ春かは」
また、トビやタカが舞うこの山を『風を司る神の山』 として
航海安全・豊漁を祈願したことから
『かざがしら=風の師(頭 かしら)』という名が付いたとも聞きます。
かって門司の地は近畿(都)へ向かう水行の要路として
内外の人々で賑わいました。風師山のふもとには朝鮮半島の
古い国名に由来する小森江(こもりえ)“高麗入江(こまいりえ)”
葛葉(くずは)“百済浜(くだらはま)”などの町の名が残っています。
(北九州市のHPより引用)



アクセス

風師山の地図

観察地は風頭というところで風師山 本峰ではありません。
標高は364mでほぼ360度の展望があります。
関門海峡に面した風光明媚な山で
手近なハイキングコースとして登山者や観光客も登ってきます。

水洗のトイレは国道から上がって右側の清滝公園しかありませんので
ここで済ませておきましょう。



国道3号線よりの入り口

九州鉄道記念館前より山へ入る。
風師山への観光標識があります。
これから道なりに一番上の駐車場まで車で登ります。

道は狭く急カーブが多いので、運転には細心の注意が必要です。
特に対向車がはみ出してくる場合がありますのでカーブミラーなども
使って事故のないように



駐車場

10台以上の駐車場が設けられています。
道路の端に停めることもできます。
ここからは歩き

観察場所まで車が入るところはうらやましい!!
急な雨などを避けるところがありません。
傘や冬場の防寒具は必携です。


登山道

駐車場から岩場まで約15分程度の道のりです。

途中、滑りやすい所もありますのでご注意を
特に雨上がりは慎重に

山頂直下に分岐点があり、そのまま進みます。
左に下っていくと風師山本峰ですので、間違いなく



観察地

分岐点からすぐで観察地に到着します。

広場になっていてベンチが設置してあり
オオバヤシャブシ?が植えてありますので日差しを遮るので
春の終わりや秋のはじめなどの日陰になりますので助かっています。



タカを探す

目標の位置



タカを遠くで見つけたとき、見える方向と高さを言いますので
事前に目標を知っておくに越したことはないでしょう。

観察地からの眺望(門司、小倉方面)




観察地からの眺望(関門海峡、下関市街地)



天気の良い時は素晴らしい眺望を見ることができ
関門海峡に浮かぶ巌流島や下関市街、行きかう船などを
見ていれば飽きることはありません。




見られる鳥

1, ハチクマ

最も人気のあるタカで短期間に集中して通過するため
見ごたえがあり、雌雄、幼成の見わけもでき
なおかつ、色合いも変化に富んでいます。

秋  カウント数    1.500〜4,500羽
   期間     9月5日〜10月20日
   ピーク期間  9月13日〜10月5日 
 
   春  カウント数   600〜1,200羽 
   期間     5月3日〜5月24日
   ピーク期間  5月6日〜5月18日 
 
 


2, ノスリ

ずんぐりした体形と腹帯、翼、下面の斑紋が目立つ中型のタカで
熱狂的なファンはいないようです。よくホバリングするのが特徴です。

渡り後半に別亜種と思われるノスリも見ることがあります。
秋  カウント数     780〜1,300羽
   期間     9月8日〜11月16日
   ピーク期間  10月10日〜11月7日 
 
   春  カウント数   520〜740羽 
   期間     5月3日〜5月24日
   ピーク期間  3月7日〜4月8日 
 
 



3、サシバ

細長い翼を持った美しいタカで、各地の多くのタカの渡り観察地では最もカウント
されている種類となります。

メインのコースは秋は四国を経由し九州南部から南西諸島を目指しますが
北部九州では渡りのコースがまだ解明されてないようですが
秋、春ともに朝鮮半島経由かもしれません。
秋  カウント数     160〜320羽
   期間     9月8日〜10月20日
   ピーク期間  9月29日〜10月11日 
 
   春  カウント数   200〜270羽 
   期間     4月1日〜5月24日
   ピーク期間  4月8日〜4月15日 
 
 



4、ハイタカ

秋は日本で越冬するために、朝鮮半島から南下しますので
西からやって飛んできます。
春には逆のコースで朝鮮半島へ渡っていきますが
西日本では山口県の角島が春の渡りの観測地として有名です。

渡りでも山肌を縫うように低いところを飛んでいくこともあり、探すのが
難しい時もあります。

オスの成鳥は背中の色が暗青色で何とも言えない美しさがあり
胸や顔に赤褐色の模様が見え、こちらもなかなかの人気種です。
秋  カウント数     590〜1,500羽
   期間     10月1日〜11月10日
   ピーク期間  10月17日〜10月31日 
 
   春  カウント数   730〜1,400羽 
   期間     3月2日〜5月24日
   ピーク期間  3月7日〜4月8日 
 
 



5,ツミ

ハイタカ属で、独特の深い羽ばたきで飛翔しますので 
  識別は難しくありませんが、帆翔しているときや 
  風が強い時などは独特の羽ばたきを確認できず厄介な時があります。 
  
  オスの成鳥は虹彩が赤く、アイリングも黄色で、なおかつ胸が赤く 
  なかなか魅力的なタカでもあります。 
 
秋  カウント数      210〜510羽
   期間     9月18日〜11月10日
   ピーク期間  10月9日〜10月29日 
 
   春  カウント数   25〜100羽 
   期間     3月20日〜5月18日
   




6,オオタカ

成鳥は美しく、飛んでいる姿も豪快で人気のあるタカですが
渡りをするようですが、風師山では、いつも現れるものと
渡りで現れるものがわからないためカウントから外しています。

胸に縦班のある幼鳥は、観察地にかなり近寄ってきて驚くことがあります。



7,アカハラダカ




8、チュウヒ




9,チゴハヤブサ




10,ハヤブサ




11,チョウゲンボウ




過去にはこんな鳥も

クマタカ



オジロワシ



オオワシ

2014年3月10日 13:45
戸ノ上山方面からタカが近づいてきて
やがて、黄色い嘴が確認でき


アカアシチョウゲンボウ

非常にまれに通過するハヤブサ類でオスの成鳥の
美しさは抜群で一見の価値があります。

まさか、風師山でこんな鳥を見ることができるなんて
思いませんでした。



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